CHAMPスコアカード

セールスツール

課題起点のBANT代替。課題・決裁権・予算・優先度の4軸で採点します。

CHAMP は BANT を反転させ、予算ではなく見込み顧客の課題( Challenges )から入り、決裁権・予算・優先度を確認します。課題発見を先に置くインバウンド/現代的な営業に向きます。

CHAMP の成り立ちと背景

CHAMP は、 SaaS 営業のリーダーであるゾリアン・ローテンバーグ( Zorian Rotenberg )が提唱したフレームワークとして知られ、彼が営業を率いていた InsightSquared のブログ記事「 Don't BANT, Just CHAMP 」(2014年)を通じて広まりました。 BANT は予算( Budget )という売り手側の関心から会話を始めるため「売り手中心だ」と見られることがあり、 CHAMP はその点への意図的な反論として生まれています。 BANT が確認する4項目とほぼ同じ論点を扱いながら、顧客の課題( Challenges )を先頭に置き直した点が特徴です。

インバウンドやコンサルティング型の営業が広がる中で、ヒアリングは「売り手の都合で見込み顧客を選別する」ものから、「まず顧客の状況を理解して商談を進める権利を得る」ものへと変化しました。今日の買い手は同じカテゴリで多数のベンダーを比較し、いきなり予算の話から入るとすぐに関心を失うため、課題を起点にすることで関係性を守れます。 CHAMP は BANT を顧客中心・課題起点の流れに並べ替え、まず課題( Challenges )を掘り下げ、次に決裁権( Authority )の所在を把握し、痛みが本物だと分かってから予算( Money )を話し、最後に優先度( Prioritization )を確かめます。これは、本当にコンサルティング的な会話が進む順序に沿っています。

CHAMP の各項目の意味

  • Challenges (課題): 見込み顧客が解決しようとしている具体的な業務課題を、表面的な機能要望にとどめず、組織全体への影響まで踏み込んで理解します。よくある失敗は、曖昧な悩みをそのまま受け取って先に進み、放置した場合のコストを数値化しないことです。
  • Authority (決裁権): 誰が実際に決め、誰が影響を与え、誰が止めうるのかを、組織図の裏にある非公式な力関係まで含めて把握します。よくある失敗は、好意的な一人の担当者の肩書きを決裁権の証拠と見なし、他の関係者を洗い出さないことです。
  • Money (予算): 予算があるか、そして顧客が何にお金をかけたいと考えているかを、課題を確認したうえで尋ねます。順序を守ることで、質問が関門ではなく課題解決の一部として受け止められます。よくある失敗は、予算から切り出して関係を壊すこと、あるいは「予算がない」の一言で、資金が後からつく可能性のある本物の課題を失注扱いにすることです。
  • Prioritization (優先順位): この課題が、顧客の他の取り組みと比べて今どの位置にあるかを確かめます。 BANT の硬直した「時期( Timeline )」を、相対的な緊急度という問いに置き換えたものです。よくある失敗は、顧客が社交辞令で挙げた時期を鵜呑みにし、他の優先事項より本当に上位かを検証しないことです。

CHAMP を使うべき場面(と向かない場面)

CHAMP は、まず顧客の課題を理解し、そこから自然に商談へつなげるインバウンド・ヒアリング起点・コンサルティング型の営業に向きます。関係性がまだ浅く、予算から切り出すと会話が終わってしまう場面での標準的な選択肢になります。逆に、予算を先に絞り込む厳格な関門が本当に必要なら、 BANT や MEDDIC のほうが適しています。

  • 向いている場面: 診断してから提案するインバウンド・コンサルティング型の商談。
  • 向いている場面: 関係者が複数いる複雑な課題で、固定の時期よりも決裁権と優先度の把握が重要な場合。
  • 向きにくい場面: 対応工数が限られる大量・トランザクション型の営業。予算優先の素早い選別で非購入層を早く外し、営業の時間を守れる場合。

CHAMP のメリット

  • 課題( Challenges )から入ることで関係性が築け、営業担当者が「売り込む人」ではなく「課題解決のパートナー」として認識されます。
  • BANT が確認する論点をすべて残したままの並べ替えなので、 BANT から移行しても厳密さを失わず、買い手に優しい順序が手に入ります。
  • 痛みを先に見つけるため、予算優先の関門なら早すぎる段階で失注扱いしていた本物の課題を拾えます。
  • 優先度( Prioritization )で相対的な緊急度を測るため、社交辞令で挙げられた時期よりも商談の勢いを正直に把握できます。
  • 覚えやすく教えやすいため、インバウンドや SDR のチームに展開しやすい設計です。

CHAMP のデメリット

  • あくまで軽量な見極めの視点であり、完全な営業手法ではないため、競合・契約プロセス・社内推進者の育成などはほとんどカバーしません。
  • 予算( Money )は確認するものの後段に置くため、本物の課題があっても予算が結局つかず、終盤で発覚するリスクがあります。
  • 購買プロセスが重いエンタープライズ商談では、 CHAMP の4項目より MEDDIC や MEDDPICC のほうが商談リスクを幅広く捉えられます。
  • 効果はヒアリングの質に左右されます。課題( Challenges )の把握が浅いと、残る3項目の判断も信頼できなくなります。
  • 大量・純粋なトランザクション型の営業では、コンサルティング的な進め方が、予算優先で一気に絞り込む方式より遅く感じられることがあります。

この CHAMP スコアカードの使い方

項目確認すること必須ゲート
課題解決すべき中核の課題を引き出せているか?任意
決裁権決裁権を持つ人物と意思決定の仕組みを把握しているか?任意
予算解決策に投資できる予算があるか?任意
優先度現時点で優先順位はどの程度高いか?任意
  1. 各項目を0(不明・なし)から3(強い・確証あり)で評価します。
  2. 入力に応じて加重スコア(100点満点)が自動計算されます。
  3. 判定を確認します。見込みあり(67%以上)/フォローアップ(34%以上)/見送り(34%未満)。
  4. 弱い項目から着手します。各弱点には次回の商談で確認すべき質問が付きます。
  5. サマリーを CRM に貼り付けるか、リンクを共有して上長のセカンドオピニオンを得ましょう。

「見込みあり」にならないケース

上表で必須ゲートに指定した項目は必須要件です。いずれかが0点(予算がない、決裁者に到達できない等)の場合、合計がどれだけ高くても判定は「フォローアップ」に留まります。見栄えの良いスコアが致命的な欠落を覆い隠すのを防ぎます。

関連スコアカード

CHAMP の採点を AI で自動化するか、同じシリーズの他のクオリフィケーション・フレームワークと比べてみてください。

参考文献

運営者情報

ターニントAI
Unbounded Pioneering株式会社

ターニントAIツールは、AIエージェントプラットフォーム「Turnint AI」を提供する Unbounded Pioneering株式会社が開発・運営する無料ツール群です。

鈴木 凌介
鈴木 凌介創業者・代表取締役

AIエージェントプラットフォーム「Turnint AI」を提供する Unbounded Pioneering株式会社の創業者・代表取締役。機械学習・AIプロダクト開発のエキスパート。大学在学中は研究室にて機械学習の研究に従事。その後、株式会社プレイド・楽天・リクルートにおいて、ソフトウェアエンジニアとして大規模プロダクトの設計・開発を手がけるとともに、新規事業開発を推進。現在は生成AI・AIエージェント領域を専門とし、エンジニアリングと事業開発の両面から一貫してプロダクト開発に携わる。ウェブ技術領域における複数の特許を発明。

特許発明者(特許第6887648号・特許第7480958号)・Turnint AI関連技術で特許出願中

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